今話題の『FIRE』って?一般人でも資産運用で早期リタイアを実現できる?

FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取ったもので、「経済的自立」と「早期リタイア」を意味する言葉です、若いうちに資産を築き、投資による収入で生活することを目標としています。

ここ数年の株高の影響や新NISAの開始の影響で日本でも注目されるようになりました。

「経済的自立」とは何か?

まず、FIREの目的でもある「経済的自立」とはどのような状態を指す言葉なのかに触れていきましょう。

FIREを語る上での「経済的自立」とは「生活費<資産所得」という状態が成り立っていることを指します。
『資産所得』とは株式の配当金や、債券の利息、不動産の家賃収入など、投資によって得られる所得を指します。
逆に自分が働くことによって得られる所得を『労働所得』といいます。
つまり、自身が働く必要のない状態、働くか働かないかを自由に選択できる状態のことを指します。

FIREの目標は「経済的自立」と「早期リタイア」

FIREの基本的な考え方は、支出を抑えつつ資産を増やし、投資からの収入で生活費を賄うことができれば、早期に仕事を辞めることが可能になるというものです。特に自由な時間を重視し、定年を待たずにリタイアしたいと考えている人たちが目指す場合が場合が多いです。

しかし、FIREを 達成させるには、しっかりとした計画と投資戦略が必要となります、資産運用にはリスクが伴うため、適切な知識と準備が不可欠です。また、個人のライフスタイルや支出、収入に応じて、必要な資産額は大きく異なります。
例えば月20万円の収入があれば生活できる人と、月50万円の収入が必要な人ではFIREに必要な資産額はかなり違ってしまいます。
では、自分はどれくらいの資産が必要となるのか?おおざっぱではありますが、大まかな目安があります、それが「4%ルール」と言われているものです。

FIRE達成の目安の「4%ルール」と注意点

FIREにおける資産運用の前提としてよく言われているのが「4%ルール」です。これは、投資元本の4%を年間の生活費として使用することができれば、資産を減らすことなく生活できるというアメリカの大学の研究結果に基づいています。
ただ、このルールは米国の市場データに基づいるます、なので日本の市場環境にそのまま適用するには注意が必要です。

FIREの種類と特徴と必要金額の目安

FIREには複数の種類がありますので解説していきます。FIREの種類によって必要な資産金額やライフスタイルも変わっていますので、参考にしてください。
FIRE達成に必要な資産がいくらなのかという試算には統計局が行っている家計調査報告の結果をもとに算出します。

二人以上世帯293,997円、単身世帯は167,620円
引用:家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要

1. Fat FIRE(ファットファイア)

Fat FIREは、高い生活水準を維持しながら早期リタイアを目指す方法です。十分な資産を築くことで、豊かな生活を送りながら経済的自立を達成します。一般的に想像ができるいわゆる「お金持ち」と呼ばれる資産家の方々はFat FIREを達成している方たちを指します。

特徴

  • 高コスト生活: 高級住宅や旅行、高価な趣味を楽しむなど、高い生活水準を維持できている。
  • 多額の資産: 生活費だけでなく、贅沢な支出もカバーできるような大きな資産が気づけている。
  • 多様な投資: 資産運用を多様化し、リスク分散を図ることで安定した収入を得ている。

Fat FIREでは生活費をすべて資産収入から賄う必要がありますので、4%ルールにのっとる場合、年間の生活費の25倍が目安となります。

Fat FIRE(ファットファイア)達成に必要な資産

つまり、単身世帯であれば167,620×12か月×25倍=50,286,000円、
2人以上世帯であれば、293,997×12か月×25倍=88,199,100円

が必要になります。もちろん資産価値は日々変動しますので、少し多めの資産を用意しておく必要があると想定すると、単身世帯であれば6千万、2人以上世帯であれば1億あると安心といえるかもしれません。

2. Barista FIRE(バリスタファイア)

Barista FIREは、完全なリタイアはせずに、アルバイトやパートタイムの仕事を続けながら経済的自立を実現する方法です。部分的な収入で生活費を補いながら、自由な時間を増やしたFIREの形です。

一般的にSide FIRE(サイドファイア)と呼ばれているのはBarista FIREの亜種といえます。Barista FIREがアルバイトやパートタイムといった雇用される側として働くのに対し、Side FIREは「個人事業主」として収入を得るという点で違いがあります。

特徴

  • パートタイムの仕事: 少しだけ働くことで、完全なリタイアよりも心理的な安心がある。
  • 柔軟な生活: フルタイムの仕事から解放され、柔軟な生活スタイルを送ることができる。
  • 比較的低リスク: 収入源が複数あるため、完全なリタイアよりもリスクが低い。

Barista FIRE(バリスタファイア)・Side FIRE(サイドファイア)達成に必要な資産

Barista FIRE(バリスタファイア)・Side FIRE(サイドファイア)はどれくらい働くのかなどの明確な決まりがないので必要な資産額というのは難しいところではありますが、今回は生活に必要な資産の半分を賄うと仮定します。つまりファットファイアの結果を2で割ればいいわけですね。

単身世帯であれば167,620×12か月×25倍=50,286,000円÷2=25,143,000円
2人以上世帯であれば、293,997×12か月×25倍=88,199,100円÷2=44,099,550円

が必要になります。ここでも少し多めの資産を用意するとして、単身世帯であれば3千万、2人以上世帯であれば5千万円あるとBarista FIRE(バリスタファイア)・Side FIRE(サイドファイア)が達成できるといえるのではないでしょうか。

3. Lean FIRE(リーンファイア)

Lean FIREは、非常にシンプルな生活スタイルを維持しながら早期リタイアを達成することを目指します。生活費を極限まで抑え、最低限の支出で経済的自立を実現するのが特徴です。自由な生活を送ることは可能ですが、その分必要最低限の生活を強いられる可能性があるため一定の覚悟が必要になります。

特徴

  • 低コスト生活: 家賃や光熱費などをできる限り削減し、低コストで生活します。
  • ミニマリズム: 物の所有を最小限に抑え、必要最低限のものだけで生活します。
  • 自給自足要素: 自家菜園を持つなど、自給自足の要素を取り入れることもあります。

Lean FIRE(リーンファイア)達成に必要な資産

Lean FIRE(リーンファイア)の場合は生活費を抑えた生活を想定しています。この場合は今までの基準とは変わってしまいますので、今回は国が定める「生活維持費」をもとに必要な資産を算定します。
生活維持費とはクレジットカードなどを作成する際に使用されるものであり、以下のように定められています。

生活維持費の一覧表

居住形態4人世帯以上3人世帯2人世帯1人世帯
持家かつ住宅ローン無又は持家無かつ借賃負担無200万円169万円136万円90万円
持家かつ住宅ローン有又は持家無かつ借賃負担有240万円209万円177万円116万円

引用:日本クレジット協会https://www.jcca-office.gr.jp/consumer/basic/amendment/

今回は住宅ローン・家賃ありの設定で試算します。

単身世帯であれば1,160,000円×25倍=29,000,000円、
2人以上世帯であれば、1,770,000円×25倍=44,250,000円

が必要になります。少し多めの資産を用意しておく必要があると想定すると、単身世帯であれば3000万円、2人以上世帯であれば4600万円あるとLean FIRE(リーンファイア)を達成できるといえるかもしれません。

4. Coast FIRE(コーストファイア)

Coast FIREは、ある程度の資産を築いた後、いわゆる「老後2000万円問題」を長期の資産運用益で解決目指す方法です。そのためCoast FIREを達成した後も生活費分は労働収入で得る必要がありますが、追加の貯蓄は必要がなく年齢が若いほど必要資産が低額となるため、他のFIREと比べると達成しやすいのが特徴です。

特徴

  • 初期の貯蓄: 初期段階で十分な資産を気づく必要があります。
  • 資産の成長: 資産の自然な成長を期待し、追加の貯蓄を行わずにリタイアを目指す。
  • 低ストレス: 労働事態は続けるため、暴落などが起きた場合も心理的な安定を保ちながら資産を成長させます

Coast FIRE(コーストファイア)達成に必要な資産

Coast FIRE(コーストファイア)は年齢が大きくかかわってきますので、60歳時点で2000万円を用意すると仮定しAIで試算をさせました。年齢はその時点でCoast FIREを達成するために必要な資産です。
投資期間が20年~40年を通して平均年利10%なんていうことは現実的ではないので、4~7%あたりの金額を目標にしておくと良いかもしれません。

年齢投資期間年利4%年利5%年利6%年利7%年利8%年利9%年利10%
20歳40年¥4,165,783¥2,842,076¥1,943,667¥1,335,268¥919,579¥636,789¥441,999
30歳30年¥6,172,512¥4,629,530¥3,486,855¥2,627,475¥2,000,558¥1,506,606¥1,146,028
40歳20年¥9,129,778¥7,540,923¥6,237,394¥5,167,618¥4,292,872¥3,569,787¥2,973,078

一般人はFIREができるのか、達成する方法とFIRE達成後の注意点

結論から言うと一般人であろうと、資産運用で早期リタイアを実現することは可能ですが。もちろん個々の状況に応じた戦略や難易度が変わってきます。

現在ではネット上に情報発信をしている方が沢山いらっしゃいますので、YoutubeやWEBサイトで情報を収集しましょう。ただ、たくさんの情報の中から正しい・質の高い情報を探すのは大変なことです、まずは金融の基本的な知識を身につつけことから、正しい情報か否かを見極められるようになりましょう。
資産運用は長期的な取り組みであり、時間をかけて学び、計画を練ることが成功への鍵となります。
FIREにはメリットだけでなく、FIREをした後のキャリアの中断や再就職の困難さ、資産価値の暴落のリスクなど、さまざまな考慮すべきデメリットも存在します。
FIRE運動を目指す場合は、これらのリスクを理解し、十分な準備と計画を行うことが重要です。

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